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<染料 dye>

 かつては自然の材料のみが染料だったので、出せる色というのはかぎられていました。
 1856年にロンドンの王立化学カレッジの助手、18歳のウィリアム・ヘンリー・パーキンが初の化学合成染料を発明したことで、<むらさき>という色を染めることができるようになりました。
 もちろん、この新しい色は大流行。
 ガウン、手袋、帽子、リボン、あらゆるものが紫色に染められて、ロンドン中がむらさきに染まったといいます。
 このアニリン系染料は、最初の<モーヴ(アニリンパープル)>の発明以降、あざやかな赤、青、緑、ピンク、黒などが、つぎつぎに発明されていきました。
 こうして、ファッションは派手にどぎつくなっていきます。
 これらの化学染料はインクや石鹸にも使われました。

 ところで、染料といえば、食品の色づけというのもおこなわれていました。
 砂糖菓子やシロップやクリームに、鮮やかな色をつけるとおいしそうに見えるというので、着色したのでしょうが、いかんせん、食紅はかなり未発達でした。
 金銀に着色するためには銅や亜鉛。
 青にするためには鉄。
 赤にするためには鉛。
 おいおいおい、って感じですね。
 緑にするには砒素(ひそ)。
 ど、どく〜!?
 死ぬぞ。おい。

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