名刺くばりは、上流階級の人々にとって大事な仕事でした。
いろいろな人とのコネが、とっても重要だったからです。
夫の名刺、夫人の名刺が、別々に作られました。
お近づきになりたい家には、夫の名刺を2枚と、夫人の名刺を1枚届けます。
夫の名刺と夫人の名刺を、女主人に。
夫の名刺を、主人に。
未婚の娘がいる場合は、夫人の名刺の下に書き添えました。
未亡人は黒縁の名刺を作りました。
名刺を受け取ると、盆の上に並べて玄関先のテーブルにおいたり、
暖炉のマントルピースの上に並べたりしました。
この家はこんな人たちとおつきあいがある、と、お客さんに見せつけるわけです。
当然、なんとか伯爵、なんとか公爵、という、派手な名刺を、いちばん目立つように
飾りました。
そりゃ〜、わたしでもそうしますわ。