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<霧 fog>

 ビクトリアンロンドンといえば霧。
 このロンドン名物の霧は<ロンドン・パティキュラー>と呼ばれています。
 これはロマンチックな白い霧ではなく、どんよりした黄土色、ひどい時には真っ黒のスモッグでした。
 田舎にいくと霧は白いそうですが、ロンドンは工場と民家の暖炉の煙突から、もうもうと煤煙があがり、このせいで冬の空は昼でも真っ暗だったらしい。
 現在では家庭の暖炉で火をたくことは禁止され、煤煙スモッグもおさまりました。風情がなくなったのは残念ですが、気管支炎でひと冬に4000人も死ぬよりはマシですよね。
 この霧は別名を<ピースープ>えんどう豆のスープといいます。
 スープの色が黄色っぽいところから連想されたのでしょう。
 さらにこの名前は逆転し、<ロンドン・パティキュラー>といえば、えんどう豆のスープをさすようにもなりました。

霧のロンドン 投稿者: さま 

ビクトリアン豆知識の「霧」の項についてのコメントです。
うちのダンナも一昔前の映画でお約束のようにロンドンが霧に包まれているのを見ては、「あれはfogじゃなくてsmogなのに、わかってねーなあ」と突っ込んでいましたが、もともと霧が出やすいところに煤煙が立ちこめて、すごい状況だったようですね。死者まで出る事態になって、1956年にやっと法律が改正されたのでした。

なお、この霧を別名"pea-souper"と呼んだのは、"as thick as pea soup"という表現からきているはずです。ピースープというのは豆を煮込んだ後うらごししてゆるいペースト状にしたスープなので、かなりドロっとしています。一寸先も見えないような濃いスモッグに包まれた街を歩いていると、まるでピースープの中を泳いでいるみたいだ、というような意味かと思います。

なお、煤煙の問題はロンドンに限ったことではなくて、エディンバラは別名"Auld Reekie"と呼ばれましたが、Auldはスコットランド語でOld、ReekieはSmokyという意味で、これもビクトリア時代に町中をもくもくと包んでいた煤煙にちなんだあだ名です。

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