一家の女性使用人を監督し、採用、解雇の決定もしていたのが、家政婦でした。
一朝一夕になれるものではなく、長い下積みをへて、家政婦に出世するのです。
家政婦は私室兼仕事部屋をあてがわれ、パントリー(食料貯蔵室)と呼ばれていました。
ここで家政婦は保存食料を作ったり、食料の注文を取り仕切ったりします。
ということは、つまみ食いし放題ということでもあります。
家政婦は既婚未婚を問わず、「ミセス」と呼ばれる習慣でした。
また、戸棚や部屋の鍵束をじゃらじゃらぶらさげているのも、家政婦の特徴です。
監獄の女看守みたい。
使用人のうち、上級使用人、つまり、家政婦、執事、侍女などは、このパントリーや執事の部屋などで、食事をしました。
上級使用人の私室で食事ができる、というのは彼らの特権だったのです。
普通の使用人は、使用人部屋やキッチンで食事をとりました。
使用人たちは、バタつきパンとハムくらいでしたが、上級使用人の部屋で出される食事は、冷たいローストビーフや、ベーコンエッグや、バターやジャムつきトーストなど、ちょいと豪華でした。
また、ビールも健康飲料として使用人たちにふるまわれていました。
ビールは自家製だったので、まぜもののあるパブのビールよりもおいしかったそうです。
家政婦の部屋では、ディナーのあとに極上のデザートが出てきました。
プディングや、タルトや、アイスクリームなど。
みんな、出世したくなりますわね〜。
ビクトリア時代、紳士のファッションとして、ヅラをかぶる、という習慣がありました。
頭の毛を剃る、または短く刈って、かつらをかぶるのです。
その上から髪粉をたっぷりふって、真っ白にします。
これは特別の粉でもなんでもありません。
小麦粉です。
しかし、もともとはあまり風呂にはいる習慣がなくて、シラミがわくからという理由で始まったらしいのに、豚の脂で作ったポマードをべったり塗った上から小麦粉をぶっかけたのでは、ますますシラミがわくのでは。
お屋敷の執事なども、かつら&小麦粉をかぶっていました。