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<オムニバス omnibus>

 パリでは1662年から乗り合い馬車が運行していましたが、公共交通機関
(オムニビュス・・万人のために、の意)として、1820年代に生まれ変わりました。
 これがロンドンに導入され、1829年からバンク〜パディントン間に、初のオムニバスが運行さます。
 当初は三頭立て16人乗りで、全区間乗車が1シリングでした。銀貨一枚ですね。
 半区間だと6ペンス、つまり、半シリングでした。
 しかし、だんだん乗り合い馬車会社が増え、一度に多くの客を運べるようになると、料金は引き下げられ、たとえばチャリングクロスからカムデンタウンまで1ペニー、銅貨1枚でいけるようになりました。
 オムニバスが大活躍したのは万博の時で、ヨーロッパ中から押し寄せたお客を大勢、運びました。当時は3000台ほどが走っていたといいます。
 
 列車と違い、1等、2等などの座席の階級差はなく、平等で民主的な乗り物でしたが、中流階級の中には、オムニバスに乗るのはちょっとかっこわるい、と思う人々もいました。
 当時の人にとっては、自分の馬車を持つことがステータスだったので、「馬車がないからオムニバスに乗っているのだ」と他人に思われることを嫌ったわけです。
 いま風に言えば、「車がないからレンタカーに乗ってるのよ」「車がないからバスしか乗らないのよ」と、女の子に思われるのがいやだ、という男の子の気持ちでしょうかね。

 乗り合い馬車であったオムニバスはやがて、自動車の乗り合いバスに変化していきますが、最後に馬のひくオムニバスが走ったのは、1911年10月25日ということです。

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