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<Bethnal Green ベスナルグリーン>

 日本でも、「銀座」「浅草」「渋谷」と、イメージのはっきりした地名があります。
 このベスナルグリーンは、ビクトリア時代、ロンドンの最貧地区でした。
 要するに、スラム街です。
 こんなふうになってしまう200年前は、裕福な人々に好まれる風光明美な土地でしたが、
ビクトリア時代には、人口のほぼ半分が貧民、という、ロンドンで最悪の貧乏率を誇りました。
 路地に家や小さな工場(こうば)がびっしりと立ち並び、労働者が多数住んでいました。
 環境はたいへんに悪く、池に生活排水から、屎尿から、猫犬の死体から、なにからなにまで
ぶちこんでしまうという、考えただけで胸が悪くなるような場所でした。
 20世紀にはいって、スラム一掃計画により、この地区は改善されました。

<butler 執事>

 steward も butler も、どちらも日本語では「執事」と訳されることが多いですが、
厳密には違います。

 バトラ−は「食堂支配人」で、ワインや食堂の管理をまかされた者です。
 家の皿(銀食器類ですね)の管理も担当していたので、夜になると銀器を金庫にいれて鍵をかけ、そのとなりの部屋で寝るという家もありました。
 朝食前に主人の新聞にアイロンをかけておくのも(当時の新聞は、インクがかわききっていなかったので主人の手を汚さないためと、しわをのばすため)バトラーです。
 また、男性支配人たちの監督役でもあります。
 バトラーにはナイフボーイという下働きがいました。
 その名のとおり、ナイフを並べたり、ナイフを研いだり、あとは使い走りや雑役担当ですね。

 スチュワードは「家令」にあたり、男性使用人筆頭で、時には男性女性使用人すべてを取り仕切ることもありました。
 スチュワードは家全体の家計管理、物資の注文、使用人の監督をまかされていました。
 大きな屋敷にはスチュワードがいましたが、もう少し小さい屋敷にはいなかったので、バトラーが男性使用人筆頭を代行していました。

 まあ、どっちも執事っちゃあ、執事ですね。
 ただ、スチュワードがトップで、バトラーはその下の地位なんです。

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