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お役立ち掲示板の過去ログ。持ち込みに関して。
ご協力者の皆さま、どうもありがとうございました。

はっぴー

「お役立ち掲示板」に、嬉しいエピソードをいただきました。
以前の書き込みと共に、掲載させていただきます。

こんにちわ。
さて、例の持ち込みの件ですが、その後、出版社に顔を出して専務とお話ししました。
その時言われたのは、「この企画はMさん(私のこと)の企画ですから、当社としてはこれを他の翻訳家にやらせるというようなことは絶対にしません。ただ、先方の提示額が1万ドルを越すような金額だと、収益の関係から出版を断念せざるを得ません。いずれにせよ、今、エージェンシーを通じて先方からの返答待ちです」ということでした。
 専務が、この企画を他の人に回さないと言ってくれたのは非常にうれしかったのですが、
その時点から既に1か月経過しており、最初のコンタクトから既に5か月が経過しました。
 質問なのですが、私が直接、版元(米国の出版社)にメールを送って先方の状況を聞くというのは反則でしょうか?版元はサイトで版権担当者のアドレスを公開しています。毎日悶々と過ごすのもそろそろ限界に近づいてきました。
 中村さんや皆さんのアドバイスを期待します。宜しくです。
(質問者様)

 エージェントからの音沙汰がまったくないのですか? それを出版社の方に確認を取られましたか?
直接版元に確認を取るのは、日本の出版社の方の了承をとってからのほうが良いと思います。その出版社さんなりの交渉のやり方があるでしょうし、勝手に交渉して出版社の方を怒らせてしまったら、その後のお付き合いに影響が出るかもしれません。
(そっこ様)

まずは何度か「あれはどうなりました?」ときいてみたほうがよいでしょう。
のんびりしているエージェントって多いですよ。英米のエージェントは特に。
わたしも「どーして返事がかえってこないかなー」と思うことがよくあります。
(中村有希)

順序が逆になってしまいましたが、ここでもう一度私のケースを説明しますと、今年の6月初めに、某出版社(A社とします)に郵送で部分訳を送り、「こういう本があるのだが、私に翻訳をやらせて欲しい」と文面で伝えると、その約2週間後(だったかな?)にA社から「面白い内容なので出版したい。今、エージェーシーを通じて版元に連絡を取っている」と言われました。ですから、A社がエージェンシーを介して版元と連絡をとってから5か月が経過しているというわけです。もちろん私もA社には何度も連絡していますが、「まだ何の回答ももらっていません。まあ大丈夫だと思いますがね」との返事です。
(質問者様)

もう、何度か、A社に連絡をとっていらっしゃるんですね。
それでは一度、正直にご自分の気持ちをお話になってみたらいかがでしょう。
エージェントからの返事が半年もなしのつぶて、というのは、よくあることなのか。
こういうケースは珍しくないのか、あせる必要はないのか。
自分は持ち込みがはじめてで、事情がよくわからないので、初心者のつもりで教えてほしい。

このくらいのことは聞いたら教えてもらえると思います。
ただ待つのは辛いですからね〜。

わたしの場合は、だいたい2、3ヶ月たったころに、「あれ、どうなりました?」と聞くと、「まだ返事がこないので、もう一度、連絡とってみます」と言われたりします。
しかし、2、3回、コンタクトをとっても返事がなかなかかえってこないエージェントもあるんです。
船便で返事をくれるのか? と思うこともたびたびあり。
A社のかたは、半年前に一度コンタクトをとったきりなのでしょうか。それもきいてみないとわからないことですよね。
想像だけであれこれ悩むと、悪いほうにばかり考えがころがってしまいますから。

感情的にならずに(ここが大事)、わからないことを教えてほしいのだ、ということを一度、正直に伝えたほうが、精神衛生上、いいかもしれませんね。
そういう質問に誠実に答えてくれる編集者さんだとわかれば、実際に仕事をすることになってからも、心から信頼できますしね〜。
(中村有希)


聞いている限りでは、A社は既に何回もエージェンシーを通じて先方に催促しているようです。前々回書きました専務のお言葉もあることですし、私はA社を全面的に信頼しています。また、長く連絡がない例についてもちょっと前に尋ねたところ、「たまにあるんですよね。うまくいく時は国内でやっているようにポンポンと話が進むんですが」という答えでした。ですからあくまで版元の事情を聞きたいと思った次第です。「はやく結果を教えてくれ」と私の親からも逆の催促を受けている状態でして(笑)。
(質問者様)

というやりとりがあったのですが、このたびこんな結果になりました。

ちゃらら〜ん!

 ご無沙汰しております。こちらで以前、「何ヶ月経っても版権が取れないようなので、状況確認のため版元に直接問い合わせてもよいものか」といった質問をさせていただいた者です。そうです、約1年かかってようやく版権が獲得できたのです。その節は中村様はじめ皆様方から、ご助言・ご指導をいただき大変お世話になりました。今回は遅ればせながら、無事出版の運びとなった報告をさせていただきます。誠にありがとうございました。
 こちらをご覧の皆様の中にも、翻訳をやってみたいと思っている方が大勢いらっしゃることと思います。私もその一人でした。そして昨年6月、思い切ってある出版社に原稿を送ったところ、「出版したい」との返事を頂きました。今まで出版の実績がなく、しかもプロとしての教育も受けていない私にとっては「意外」と言うほかありません。ただ、原稿を送る際には、次の点に注意した手紙を同封しました。
1突然の原稿送付という無礼を丁重に詫びること
2なぜこの本を出版したいのか、なぜ自分がそれに適任なのかを説明すること
3簡単に市場動向を分析して、出版すれば確実に需要があることを説得すること
こうしてみると結構な分量になるように思えますが、これをA4で1ページにまとめました。なにしろ、忙しい中で読んで頂かなくてはなりません。私は、この文章を書くのに2週間掛け、何度も読んで、的確かつインパクトのある言葉を選び、冗漫な表現は全て廃すよう気をつけました。
 それが効を奏したのかどうかは分かりません。単なる運だったのかもしれません。でも、何もしなかったら運そのものもなかったと思います。私が出版しようとする本のジャンルはノンフィクションであり、文学を扱う出版社はまた対応が違うかもしれませんが、皆様も「ダメモト」でチャレンジされたらいかがでしょうか。
 ただ、ある方に言わせると、「突然出版社に原稿を送りつけるのは、初対面の女性に対して、『今晩、一緒に寝たい』と言うのと同じ」らしいですから、その点はくれぐれも気を付けられた方がいいのかもしれません。
以上、少しでも参考になれば幸甚です。

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その後。

2年目にして・・・・  
中村様、皆さん、ご無沙汰しております。この度、ようやく私目の手になる翻訳本が世に出ました。企画持ち込みからここにくるまで実に2年!その節は色々お世話になりました。すったもんだもありましたが、今となってはすべてが良き思い出です。

 私の翻訳本はノンフィクションであり、中村様のジャンルとは違いますが、こちらをご覧の皆さんにも何らかのご参考になるのではないかと思い、今回の翻訳にまつわるその後の経過を包み隠さずお話ししようと思います(これまでの経緯にご興味があれば、こちらのHPにある「心得8」をお読みください)。

 まず、本が出版されたのは先月末でした。定価は800円。発行部数約1万部。そして一番気になる印税率は5%。支払いは半年後(つまり来年1月)で、3か月の連続分割払いということでした。一般的に印税率の平均は8%らしいですが、今回の翻訳が私にとって初めてである点や、出版社自体が比較的小規模である点を考慮すれば、まあまあかなと思っております(実は最初は3%と言われておりました。率が上がった理由は定かではありません)。

 私はプロの翻訳家ではないのですが、今回の出版によって、本業とはまったく違う世界が開けましたし、担当の編集者さんやその上司の方ともいい関係ができました。特に上司の方からは、「次はこれを訳して欲しい」と言われたのは驚きました。もっとも、その分野は私の専門ではないので丁重にお断りしましたが。

 また、インターネットを通じて世界中の専門家に疑問をぶつけることが出来たのもいい経験になりました。自分はこの筋の専門家と思っていたところ、実は何も知らなかったのだということも思い知らされ、まだまだ修行が足りないことも痛感しました。でも、無知の知は、こうした行動がなければ得られなかったでしょうし、井の中の蛙は自己満足するのみで一生を終えていたことでしょう。

 実際に出版されてからの反応をインターネットで調べたところ、「訳者に感謝」とか「読んで大満足」など、世間様にもある程度は貢献できたのかなと、喜びに耐えません。

 これを機会に、これからも仕事の合間を縫って、さらに翻訳活動を継続させていこうと思っております。次は英語ではない言語の翻訳に挑戦。今、全体の3分の1程の粗訳を終えたところです。

 以上、こちらをご覧になっているこれからの挑戦者にご参考になれば。

おめでとうございま〜す!

お役立ち掲示板の過去ログ。独学に関して。

ご協力者の皆さま、どうもありがとうございました

 僕に翻訳はできるでしょうか?
 僕は先月に大学を卒業したんですが、何か好きなことを仕事にしたいなぁと探してるうちに、3月が来ちゃいまして・・・現在無職で親のすねかじって生きてます。で、やっとやりたいことがまとまってきて、僕が一番好きなことは本読むこと、特にミステリが好きなので翻訳家という職に憧れてるんです。でも、これまで生きてきたなかで外国語に関わったのは授業だけ。別段、得意だったわけでもありません・・・こんな僕なんですが、翻訳、できるでしょうか?しかもこの肩身の狭い現状、専門学校に通うなんてとても言えず、独学という形で・・・何かお言葉をいただけたら嬉しいです。
(質問者さま)

 1冊でも本を出せば、「翻訳家」ですよ(笑)。
 まあ、わたしも就職活動がいやで、通勤電車にのるのがいやで、ミステリファンだったから本に関係する仕事をしたい、というだけの動機でしたから、スタート地点はほとんど同じです。
 独学でももちろん勉強はできますし、持ち込んだ企画なり原稿なりが出版社に受け入れられれば、翻訳家にはなれます。
 ただ、学校に通うなりなんなりして、コネがあったほうが、デビューは近いかもしれません。
 もちろん、力もつきますが。

 ところで、こんな方法もあります。
 こちらのホームページをごらんになってみては、いかがでしょうか。(わたしも購読しています。)

http://homepage3.nifty.com/yonemaru/Douraku/Douraku.html
(中村)

 横レスで失礼します。
 小生、十年ほど前にミステリを二冊(共訳書を入れれば三冊)翻訳した者です。
 昔の自分と共通するところを感じたので、小生のことを書かせていただきたく、おじゃまする次第です。
 翻訳の仕事を志してまずしたのは、自分が翻訳したいジャンルの原書を読むことでした。いつかスティーヴン・キングを翻訳したい、という夢を持っていたので、ホラーのペーパーバックを手当たり次第に読みました。書き出しが読みやすそうで、表紙が面白そうなら、まずチャレンジしていましたね。
それから、読んだ中で「これは!」と思った本の最初の一ページや、好きな場面の数段落を、翻訳してみました。自分の気持ち(いわば「乗り」ですが)にあわせていくと、だんだん翻訳する量が増えていったものです。小生が試みたのは、キングの長編のある章の抜粋にはじまり、長めのエッセイや短編を試み、最後は中編「人狼の四季」の全編を訳するにまで至りました。
 そんなことをしているうちに自信がついたのと、知人が編集者だったこととで、その人の勤務先に売り込み、最初のお仕事をいただいた、という次第です。
 これは、小生の場合ですので、同じことをするよう、お薦めしているわけではありません。が、自分の好きなジャンルを選ぶことと、原書を読み慣れることは、翻訳家志望の方には有効だと思いますよ。
 以上、なにかのご参考になれば幸いです。
(植草昌実さま)


 植草昌実さん。ありがとうございます。
  いや〜、わたしの翻訳学校時代より、よほどまじめですね。翻訳学校の課題なんて、1週間にたった1段落、2段落程度で、それすらまじめにやってこない人は多かったですからね〜。

 ところで、文法の勉強ももちろんけっこうですが、翻訳という作業は、結局、日本語をひねりだす作業です。
 そのためには、たくさんの日本語を体にたたきこんでおかなければなりません。
 ですから、日本語の本をたくさん読む必要があります。

 また、原書を訳すにしても、いきなり長編というのはたいへんですから、まずは短編集を教材にするのが吉です。
 初心者だと、短編でも最初から最後まで訳しきるのは、けっこう体力いりますよ。
 原書はやはり好きなジャンルを選ぶことでしょうね。ミステリがお好きなら、ミステリを。
 苦手なジャンルの本はなかなかページが進みませんから。
 語彙が平易で、日常が舞台なので比較的読みやすい、という観点で選ぶなら、コージーミステリをおすすめします。好みにあうかどうかは別として・・

 ところで、独学でも全然かまわないと言いましたが、独学でいちばん困るのは、ひとりよがりになりがち、ということです。
 家族や友達に読んでもらって、意見を言ってもらうのもいいでしょう。
 また、よい文をたくさん読むと自然に「この文はいい」「この文はへただ」という感覚が身についてきます。
 そうすれば、自分で自分の文を第三者の眼で冷静に添削できるようになります。

 だから、日本語の本をたくさん読むという、読書が大切なのです。
(中村)

 中村さんが「この文はうまい!」って感じる日本語の本ってどんなのがあるか教えていただいても構いませんか?
(質問者さま)

 あくまで好みですが〜。翻訳家では、浅羽莢子さん、芹澤 恵さんの訳を読むたび、「すごい。あたしにはできない」と思います。
 作家では、柄刀一さんの文は品があるし、かたい文からやわらかい文まで自由自在にお書きになっているので、引き出しが多いな〜、とうらやましくなります。
 上遠野 浩平さんも、かなり器用なかただと思います
(中村)

 日本語の文章でしたら、ご自分の好みを知るのが一番かと思います。
 翻訳書を読んで、「この訳はうまい! こんな翻訳がしたい!」と思ったら、その人の訳書を集中して読むと、いろいろ盗めますよ。永井淳さん、深町真理子さんといった大御所なら、まさに翻訳術の宝庫です。
 小生が、ウォルター・サタスウェイト「名探偵登場」を訳したときは、一人称がハードボイルド調なので、小鷹信光さんや稲葉明雄さん、田中小実昌さんの訳書を読んだものでした。
 また、創作でしたら、ちょっと古めの作家さんの短編小説は、どんなジャンルでも、語彙の豊富さや、文章のかんどころを知ることができると思います。小生の好みでは、山川方夫、三浦哲郎、吉行淳之介、都筑道夫、小松左京、半村良……ちょっと渋すぎましたか。
まずは乱読をお薦めします。
(植草昌実さま)

 

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